はじめての測定器選び Vol.2:スペアナ編|失敗しないための3つの選定ポイント

「はじめての測定器選び」シリーズへようこそ。第1弾のオシロスコープ編に続き、第2弾のテーマは「スペクトラムアナライザ(スペアナ)」です。

【スペアナ入門】オシロスコープとの違いとは?周波数で見る世界の基本と選び方

「オシロスコープとスペアナ、どちらも信号を見る道具だけど、一体何が違うの?」

測定器に触れ始めたばかりの方が、最初に抱く大きな疑問ではないでしょうか。

この記事を読めば、その根本的な違いから、あなたの目的に合ったスペアナを選ぶための重要なポイントまで、すべてを分かりやすくご理解いただけます。

時間か?周波数か? オシロスコープとスペアナの決定的な「見方」の違い

測定器選びの第一歩は、両者の役割の違いをはっきりと理解することです。どちらも電気信号を「見る」道具ですが、その「見方(=分析の軸)」が全く異なります。

  • オシロスコープの見方:横軸が「時間」信号の電圧が、時間の経過と共にどう変化していくかを、波形として見るための道具です。信号の立ち上がり時間や、パルス幅などを正確に捉えるのが得意です。
  • スペクトラムアナライザの見方:横軸が「周波数」ある信号の中に、どの周波数の成分が、どれくらいの強さ(電力)で含まれているかを、スペクトラムとして見るための道具です。

この違いをオーケストラの演奏に例えてみましょう。

  • オシロスコープ演奏全体の「音量の時間変化」をグラフにしたもの。盛り上がっている箇所は分かりますが、どの楽器が鳴っているかまでは分かりません。
  • スペクトラムアナライザ演奏を構成している「楽器ごとの音量」をグラフにしたもの。「トランペット(高い周波数)が一番大きな音で鳴っている」「コントラバス(低い周波数)も静かに鳴っている」といった、周波数ごとの成分分析が可能です。

このように、測定したいものが「時間的な変化」なのか、「周波数的な成分」なのかによって、選ぶべき測定器は変わってくるのです。

スペアナはどんな時に使う?具体的な使用シーン

では、具体的にどのような場面でスペアナは活躍するのでしょうか。周波数の成分を見ることで、以下のような評価や解析が可能になります。

  • ノイズ測定(EMC対策)あらゆる電子機器は、意図しない電波(ノイズ)を放射しています。スペアナを使えば、そのノイズがどの周波数で、どれくらいの強さで出ているかを測定し、EMC(電磁両立性)対策に役立てることができます。
  • 無線通信機器の評価スマートフォンや無線LAN、放送機器などが、定められた周波数で、きれいな品質の電波を送受信できているか、不要な電波(スプリアス)が出ていないかを評価するために不可欠です。
  • 電波環境調査特定の場所で、どのような周波数の電波が、どれくらいの強さで飛び交っているかを調査。他の無線システムとの干渉などを確認します。

失敗しない!スペアナ選び、プロが教える3つの着眼点

複雑に見えるスペアナの仕様ですが、まずは以下の3つのポイントを押さえることが、あなたの目的に合った最適な一台を見つける近道です。

  • ポイント1:周波数レンジ(測定範囲)最も重要なポイントです。 測定したい信号の周波数を、十分にカバーしているかを確認しましょう。例えば、無線LAN(2.4GHz/5GHz帯)の評価がしたいのに、1GHzまでしか測れないスペアナでは意味がありません。逆に、必要以上に広い周波数範囲を持つモデルは非常に高価になるため、測定目的に合わせた適切なレンジ選びがコストを抑える鍵となります。
  • ポイント2:ポータブルか、据え置きか使用する場所も重要な選定基準です。
    • ポータブルタイプ: バッテリーで駆動し、屋外での電波環境調査や、客先でのトラブルシューティングなど、現場への持ち運びが必要な場合に最適です。
    • 据え置き(ベンチトップ)タイプ: 研究開発室や品質管理部門のデスクに設置して使います。一般的に、より高い精度や安定性、高度な分析機能を備えています。
  • ポイント3:ご予算(中古品という賢い選択)高性能なスペアナは、新品では数百万円、時には一千万円を超えることも珍しくありません。そこで大きな選択肢となるのが「中古測定器」です。中古品であれば、必要な性能(周波数、分解能など)を満たしたモデルを、ご予算を大幅に抑えて導入することが可能です。

「あなたに最適の一台」を提案します|R4Rの強み

R4Rは、単に在庫品を並べて販売するだけではありません。お客様一人ひとりの「目的」に寄り添った、最適な一台をご提案することを最も大切にしています。

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【まとめ】

スペクトラムアナライザ選びは、まず「オシロスコープとの見方の違い」を理解し、ご自身の「測定目的」を明確にすることがスタートラインです。

その上で、「周波数レンジ」「使用場所(ポータブル/据え置き)」「予算」の3つのポイントを整理すれば、自ずと最適なモデルが見えてきます。

もし、どの機種を選べば良いか迷われたり、ご自身の目的に合ったスペックが分からなかったりした場合は、ぜひ一度R4Rにご相談ください。専門スタッフが、豊富な知識と経験で、あなたの測定器選びを全力でサポートいたします。

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