ファンクションジェネレータとは?信号発生器の基本と選び方

正弦波・矩形波・任意波形——何が違うのか、どれを選ぶべきかをR4Rが整理します
ファンクションジェネレータとは、正弦波・矩形波・ランプ波などの電気信号を生成し、回路や機器へテスト信号として出力する装置です。オシロスコープが信号を「見る」装置なら、ファンクションジェネレータは信号を「作る」装置と考えると分かりやすいでしょう。この記事では、基本機能、代表的な活用シーン、用途に合う機種を選ぶときに確認したい仕様を整理します。
ファンクションジェネレータとは?何ができる装置か
ファンクションジェネレータは、回路へ入力する基準信号や模擬信号を作るための信号源です。Keysightの公式ページでは、一般的なファンクションジェネレータは正弦波、矩形波、三角波、ランプ波、のこぎり波などの標準波形を生成し、任意波形発生機能を持つ機種ではカスタム波形も扱えると説明しています(Keysight公式サイトより)。
Tektronixも、AFG(Arbitrary/Function Generator)は正弦波や矩形波などの標準波形を安定して生成し、周波数・振幅を素早く変更できる信号源として位置づけています(Tektronix公式「What is a Signal Generator?」より)。機種によってはパルス、ノイズ、スイープ、バースト、AM/FM/PMなどの変調、任意波形に対応します。
| 波形・機能 | 主な使い方 |
|---|---|
| 正弦波 | アンプ、フィルタ、アナログ回路の周波数特性評価 |
| 矩形波・パルス | デジタル回路、クロック入力、応答確認 |
| ランプ波・三角波 | 制御回路や比較回路の動作確認 |
| 任意波形 | センサー出力、異常波形、ノイズを含む信号の模擬 |
| AM/FM等の変調 | 通信・受信回路の基本的な変調応答評価 |
なお、ファンクションジェネレータ、AFG、AWGはメーカーやシリーズによって呼び方と機能範囲が重なることがあります。名称だけで判断せず、必要な波形、サンプルレート、メモリ、出力性能を仕様表で確認することが大切です。
現場での主な使い方|アンプ評価・信号模擬・変調試験
アンプやフィルタの周波数特性を評価する
オーディオアンプや高周波アンプへ基準となる正弦波を入力し、出力をオシロスコープなどで観測します。周波数を変えながら出力を確認することで、ゲインや波形の変化、回路の応答を評価できます。オシロスコープとの組み合わせについては、「はじめてのオシロスコープ選び:帯域幅とサンプルレートの正しい関係」もあわせてご覧ください。
センサー信号や異常波形を模擬してストレステストする
実環境で起こり得るノイズや変動、異常パルスを意図的に作り、制御回路やソフトウェアが想定外の入力に対して正しく動作するかを確認します。Tektronixは任意波形の用途例として、オーバーシュート、リンギング、グリッチ、ノイズなどの信号不完全性の模擬を挙げています。複雑な模擬信号を使う場合は、任意波形機能に加えてサンプルレートと波形メモリの確認が重要です。
AM/FM変調信号を作って受信回路を評価する
変調機能を備える機種では、AMやFMなどのテスト信号を生成し、受信回路の基本動作や復調動作を確認できます。TektronixのAFG関連資料でもAM/FM変調やスイープ機能が無線・ラジオ回路の評価に利用されています。より複雑なデジタル変調やRF通信規格の評価では、ベクトル信号発生器など別カテゴリの信号源が必要になる場合があります。
選び方で確認したい6つの仕様
Keysightは波形発生器の選定項目として、帯域幅、チャンネル数、任意波形機能、最大サンプルレートなどを挙げています。Tektronixも周波数範囲、サンプルレート、垂直分解能、波形メモリ、チャンネル数を重要な選定項目として説明しています。用途から逆算すると、次の6項目に整理できます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 1. 周波数範囲・帯域幅 | 作りたい信号の最高周波数をカバーするか。波形によって最大周波数が異なる機種にも注意 |
| 2. サンプルレート | 任意波形や複雑な波形を十分な時間分解能で再現できるか |
| 3. 出力振幅・オフセット | DUTに必要な電圧を出せるか。50Ω負荷時とHi-Z時の仕様を区別する |
| 4. チャンネル数 | 2信号の位相差、同期信号、I/Qなど複数信号を同時生成する必要があるか |
| 5. 任意波形・メモリ長 | 複雑なセンサー波形や長い非反復パターンを再現できるか |
| 6. 信号品質・制御機能 | 垂直分解能、ジッタ、歪み、変調、スイープ、バースト、USB/LAN/GPIBなどが用途に合うか |
特に見落としやすいのが出力負荷です。Tektronixの公式資料では、50Ω負荷とHigh-Z負荷で出力可能な振幅が異なる機種があり、接続する回路のインピーダンス設定を合わせることで表示振幅を正しく扱えると説明しています。「10Vpp出せる」といった数値だけを見るのではなく、どの負荷条件での値かまで確認してください。
また、任意波形を使う場合は帯域幅だけでなく、サンプルレートとメモリ長が波形再現性に関わります。Tektronixは、サンプルレートが出力信号の周波数と忠実度に影響し、メモリ長は複雑な波形をどれだけ細かく・長く定義できるかに関わると説明しています(Tektronix公式サイトより)。
よくある質問
Q. ファンクションジェネレータと任意波形発生器(AWG)は何が違いますか?
A. ファンクションジェネレータは正弦波・矩形波・ランプ波などの標準波形を手早く生成する用途に向きます。AWGは保存したデジタル波形データを使い、より複雑なカスタム波形を再現する用途に向きます。現在は任意波形機能を備えたAFGも多く、必要な波形の複雑さとサンプルレート、メモリ長で選び分けます。
Q. ファンクションジェネレータとオシロスコープはどう使い分けますか?
A. ファンクションジェネレータは回路へ入力する信号を「作る」装置、オシロスコープは回路内の信号を「見る」装置です。アンプやフィルタの評価では両方を組み合わせて使います。オシロスコープ側の選び方は「はじめてのオシロスコープ選び」をご覧ください。
Q. ロジックアナライザとの違いは何ですか?
A. ロジックアナライザは複数のデジタル信号を取り込み、High/Lowの状態やタイミング、バス動作を観測する装置です。ファンクションジェネレータは観測器ではなく、DUTへ与える試験信号を生成する信号源です。
Q. 中古品を選ぶときに最低限確認したい点は?
A. 必要な最高周波数、出力振幅、チャンネル数、任意波形の有無、サンプルレート、メモリ長を確認します。さらに50Ω負荷時とHi-Z時で表示振幅が変わる機種があるため、出力条件と校正状態、必要な通信インターフェースも確認します。
まとめ
ファンクションジェネレータは、回路へ与える正弦波・矩形波・任意波形などを生成する「信号を作る」装置です。アンプの周波数特性評価、センサー信号の模擬、ストレステスト、AM/FM変調試験などに利用できます。選定では、周波数範囲だけでなく、サンプルレート、出力振幅、チャンネル数、任意波形とメモリ長、信号品質・制御機能まで用途から逆算して確認すると、必要な機種を絞り込みやすくなります。


