設備診断・回転機械の異常検知に振動計を使う方法|実務ガイド

「音は正常なのに壊れた」を防ぐ——振動データで異常を早期発見する3つのポイント

回転機械の振動診断では、同じ測定点・条件で振動値を継続記録し、トレンドの変化を追うことが第一歩です。異常が見えたら周波数分析で成分を分け、回転数や部品固有の周波数と照合して原因候補を絞ります。

まずトレンドを管理する

設備診断では、単発の振動値だけで正常・異常を決めるより、同じ測定位置・方向・運転条件で定期測定し、変化量を追うことが重要です。軸受、モータ、ポンプ、ファンなどでは運転条件で振動値が変わるため、比較条件を揃えます。

測定点を固定し、回転数、負荷、温度などもあわせて記録しておくと、「いつから変化したか」を把握しやすくなります。

周波数分析で原因候補を絞る

リオンは精密診断について、FFTによる周波数分析を行い、どの周波数の振動がどの程度発生しているかを見ることで振動源を特定していく方法を説明しています。時間波形だけでなく、スペクトル上のピーク位置と大きさを確認します。

小野測器もFFT解析の応用例として、固有振動数・減衰比や機械振動の分析を挙げています。回転1次成分、倍周波数、軸受・歯車などに関係する成分を設備情報と照合して原因候補を絞ります。

加速度・速度・変位の使い分け、周波数レンジ、センサ取り付けなど機種選定の基礎は振動計の選び方に分けています。

閾値は設備ごとに育てる

規格値やメーカー基準は参考になりますが、設備ごとに構造、回転数、設置条件が異なるため、自社設備の正常時データを基準に傾向を管理することが実務では重要です。

警報値を一度設定して終わりにせず、点検結果、部品交換、故障履歴と振動データを照合し、どの変化が実際の異常につながったかを蓄積します。これにより、設備ごとの実用的な閾値を整えていけます。

よくある質問

Q. 振動値が高ければすぐ故障ですか?

A. 必ずしもそうとは限りません。運転条件や設備構造で値は変わるため、正常時の基準とトレンドを比較します。

Q. FFTは何を見るために使いますか?

A. 振動を周波数ごとの成分に分け、回転数や部品固有の周波数と照合して原因候補を絞るために使います。

Q. 測定場所は毎回変えてもよいですか?

A. トレンド比較では同じ位置・方向で測る方が再現性を取りやすくなります。測定点を決めて管理するのがおすすめです。

Q. 閾値は規格値だけで決めればよいですか?

A. 規格値は参考になりますが、自社設備の正常時データと故障履歴を組み合わせて管理すると実用性が高まります。

まとめ

回転機械の振動診断は、条件を揃えた継続測定、トレンド確認、FFTによる周波数分析の順で進めると異常を追いやすくなります。機器仕様よりも、測定条件と設備履歴を揃えることが診断精度につながります。

▶ 設備診断に使える振動計・分析器を相談する