絶縁抵抗計と耐電圧試験器の違い|目的・判定方法・選び方

絶縁抵抗計と耐電圧試験器の違いを、測る値・試験目的・選定条件から比較する

絶縁抵抗計と耐電圧試験器の違いを、測る値・試験目的・選定条件から比較する

メガーで測る絶縁抵抗と、耐電圧試験で確かめる絶縁耐力は別のものです。

絶縁抵抗計(メガー)は、直流電圧を印加して絶縁抵抗値を測る機器です。耐電圧試験器は、指定された電圧を一定時間印加し、絶縁がその条件に耐えるかを確認します。両方の試験が必要な製品・工程もありますが、すべての設備点検で両方を行うわけではありません。対象に適用される規格と試験目的を確認して使い分けます。

絶縁抵抗計(メガー)は何を測る?

絶縁抵抗計は、導体と大地間などの測定箇所に直流電圧を印加し、流れた微小な電流から絶縁抵抗を算出します。表示単位は主にMΩ(メガオーム)やGΩ(ギガオーム)です。日置電機は、モーター、変圧器、スイッチギアなどの保守において、所定の試験電圧で絶縁抵抗を測定する方法を説明しています。

抵抗値の推移は絶縁状態を調べる手掛かりになります。ただし、測定値は温度・湿度・印加時間などでも変化します。前回値と比較するときは測定条件をそろえ、数値の変化だけで劣化原因を断定しないことが大切です。

高い試験電圧が必要な機器の例に、Fluke 1550C 高電圧絶縁抵抗計の製品情報があります。メーカーは最大5kVの絶縁抵抗試験に対応すると案内しています。5kVを使うべきという意味ではなく、対象に指定された試験電圧に適合する機種を選びます。

耐電圧試験器は何を確認する?

耐電圧試験器は、指定された試験箇所に規定の高電圧を所定時間印加し、その条件で絶縁破壊やフラッシュオーバーが起きず、漏れ電流などが判定条件内に収まるかを確認します。目的は抵抗値をMΩで求めることではなく、要求された絶縁耐力を確かめることです。試験には交流(AC)と直流(DC)があり、使用する方式・電圧・保持時間・判定値は対象の規格や試験手順によります。

機種の例として、菊水 TOS5050の製品情報と、AC・DC耐電圧試験に加えて絶縁抵抗試験にも対応する菊水 TOS9303の製品情報があります。掲載ページは機種情報であり、在庫・付属品・校正状態は個別に確認が必要です。

絶縁抵抗計と耐電圧試験器の違い

比較項目絶縁抵抗計(メガー)耐電圧試験器
主な目的所定条件での絶縁抵抗値を測る指定電圧に所定時間耐えるかを確かめる
印加と観測直流電圧を印加し、電流から抵抗値を求める規格・手順で指定されたACまたはDC電圧を印加し、漏れ電流や絶縁破壊の有無を監視する
結果と判定MΩ・GΩなどの値を、指定された下限値や過去の同条件の測定値と照合する指定時間中に絶縁破壊が起きず、漏れ電流などが規定の条件内かを判定する
主な利用場面設備保守での絶縁状態の確認、製品・部品の絶縁抵抗検査製品や部品の安全試験、製造・出荷時などの絶縁耐力の確認
規格・法令上の扱い対象の設備・製品に適用される規格や保安手順によって、試験の要否、方法、基準値が異なる。一律に「両方必須」とは判断できない

絶縁抵抗値が高くても、規定の耐電圧試験に合格することまでは示せません。逆に耐電圧試験の合格だけで、絶縁抵抗の数値やその経時変化は分かりません。日置電機も、絶縁抵抗試験は抵抗値を測る試験、耐電圧試験は絶縁耐力を確かめる試験と区別しています。

用途別の選び方と確認項目

設備の保守点検で絶縁状態を確認したい場合は、対象回路に指定された測定電圧・抵抗レンジ・安全カテゴリに対応する絶縁抵抗計を選びます。測定箇所に接続された電子機器や回路の構成によっては印加電圧が影響を及ぼすため、対象設備の手順を確認してください。

製品や部品の絶縁耐力を判定したい場合は、要求されるAC/DC方式、試験電圧、出力容量、漏れ電流の判定範囲、保持時間に対応する耐電圧試験器を選びます。両方の試験を工程内で行うなら、TOS9303のような複合機も候補になります。ただし、複合機を導入しても試験項目ごとの条件設定と結果判定は別々に必要です。

どちらも高電圧を扱います。選定時はインターロック、試験後の放電、異常時の出力遮断、テストリードの状態といった安全面も確認してください。具体的な印加電圧、合否基準、保持時間を一般的な数値から決めるのではなく、適用規格・対象機器の仕様・社内手順に合わせます。中古機を導入する際の校正証明書や校正先の考え方は、中古測定器の校正を判断する記事も参考になります。

仕様・試験方法の参照資料:日置電機の試験解説、Fluke 1550C公式仕様、菊水電子工業の機種比較表

よくある質問

Q. 5kV対応の絶縁抵抗計なら、耐電圧試験も代用できますか?

A. 試験電圧の最大値だけでは代用できません。絶縁抵抗計は抵抗値を測り、耐電圧試験器は指定条件で絶縁が耐えるかを判定します。必要な試験機能と適用規格を確認してください。

Q. 設備点検では必ず両方の試験が必要ですか?

A. 必ずしもそうではありません。定期点検と製品の出荷検査では目的が異なります。対象設備・製品に適用される規格、保安規程、メーカーの指示と試験手順に従って判断します。

Q. 耐電圧試験はACとDCのどちらを選べばよいですか?

A. 対象に適用される規格や試験手順で指定された方式を選びます。ACとDCで同じ設定値をそのまま置き換えることはできません。機種の対応方式と判定条件を確認してください。

Q. 1台で絶縁抵抗試験と耐電圧試験を行えますか?

A. 両機能を備えた機種なら可能です。例えば菊水 TOS9303はAC/DC耐電圧試験と絶縁抵抗試験に対応します。必要な試験範囲、安全機能、付属品は導入前に確認してください。

掲載のない型番や生産終了品を探す場合は、中古計測器の在庫探索・調達支援もご利用ください。

まとめ

絶縁抵抗計は直流電圧を印加して絶縁抵抗値を測り、耐電圧試験器は指定された電圧と時間で絶縁耐力を確認します。試験目的が異なるため、片方の結果だけで他方の合格を判断できません。点検対象と適用規格を先に確認し、必要な試験機能、判定条件、安全機能に合う機種を選んでください。

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