「その型番、本当に必要ですか?」チラー選定で失敗しないためのプロの視点

チラー(冷却水循環装置)の選定ミスで数百万の損失も。プロが教えるコストと性能の最適化
「指定のチラー、中古でありませんか?」その一言から始まる、最適な選定プロセス
ある日、お客様から「UWAP20AZという型番のチラーを探しているのですが、中古品はありませんか?」という一本のお問い合わせをいただきました。
このように型番を具体的にご指定いただく背景には、お客様なりの綿密な計画やご予算があります。しかし、私たちR4Rの仕事は、ただ言われた通りの製品を探すことではありません。その言葉の裏にある「本当の目的」を探り出し、お客様にとっての真のベストソリューションを共に考えることから始まります。
この記事では、この実際のエピソードを元に、チラー(冷却水循環装置)の選定で多くの人が陥りがちな落とし穴と、失敗しないための最も重要な考え方、そしてプロの視点をご紹介します。
なぜその型番が? お客様の言葉の裏にある「真のニーズ」
詳しくお話を伺うと、お客様が求めていらっしゃるのは「40kW前後の冷却能力」を持つチラーであることが分かりました。UWAP20AZは確かにその条件を満たす優れたチラーです。
しかし、ご指定のモデルが常に中古市場で流通しているとは限りません。特に人気機種であれば、すぐに在庫が見つからないことも少なくありません。ここで重要なのは、「UWAP20AZという型番」はあくまで目的を達成するための解決策の一つであり、目的そのものではないということです。
お客様の真の目的は「40kW前後の冷却能力を持つ装置を、予算内で、必要な時期までに導入すること」。
私たちは、型番に固執するのではなく、お客様の課題を解決できる最適な選択肢をあらゆる角度から探すアプローチをご提案しました。
チラー選定、最大のキモは「冷却能力」の正しい理解
チラー、いわゆる冷却水循環装置や恒温水槽といった温度管理機器の選定において、最も重要で、そして最も間違いやすいスペックが「冷却能力」です。
- 能力が大きすぎる場合:必要以上に本体価格が高くなり、設置スペースも大きくなります。さらに、日々のランニングコスト(電気代)も無駄にかさんでしまいます。
- 能力が小さすぎる場合:これが最悪のケースです。冷却対象物を全く冷やすことができず、研究や生産がストップしてしまいます。結果として、買い替えのために二重のコストと時間がかかることになります。
空冷式チラー
、水冷式チラー
といった冷却方式や、低温恒温水槽
のような特殊な機器を選ぶ上でも、この「冷却能力」をいかに正確に算出するかが、全ての基本となるのです。
プロの視点①:本当に必要な冷却能力の見極め方
お客様は当初「40kW」を求めていらっしゃいましたが、私たちはそこで思考を止めず、さらに一歩踏み込んでヒアリングを行いました。
「設置場所の普段の室温はどのくらいですか?」
「冷却したい対象物の具体的な発熱量はどの程度でしょう?」
「チラーから対象物までの配管の長さや材質は?」
このような、カタログスペックだけでは見えない運用環境の要素を一つひとつ確認することで、お客様のケースでは「もしかしたら30kWクラスの能力で十分なのではないか?」という可能性が浮かび上がってきました。
この丁寧なヒアリングと、現場の状況を考慮した分析こそが、過剰でもなく不足でもない、真に最適な一台を見つけ出すための鍵なのです。
プロの視点②:夏の猛暑を見越した「ワンランク上」という提案
ただし、冷却能力の選定には、もう一つ注意すべき点があります。それは「夏場の運用」です。
昨今の夏の異常気象は、皆様も肌で感じていらっしゃることでしょう。この猛暑は、チラーの性能にも直接影響します。特に空冷式チラーは、周囲の気温が上がると冷却効率が著しく低下してしまいます。
従来の計算式だけで選んでしまうと、「夏場だけ、なぜか能力が足りない…」という事態に陥りかねません。
私たちR4Rでは、このようなリスクを考慮し、夏場にピーク性能が求められるお客様には、あえて計算上の数値よりワンランク上の冷却能力を持つモデルをご提案することがあります。これも、長年の経験と、日本全国の様々な現場を見てきた私たちならではの知見です。
結論:最適なチラーは、お客様と私たちの「対話」から生まれる
最終的に、このお客様は、私たちが提案した30kWクラスのチラー「MCAV-P300A」の特性や導入メリットにご納得いただき、導入を決定されました。
もし私たちが、ただお客様に言われた通りの型番を探すだけの業者だったら、この最適な出会いは生まれませんでした。お客様は希望のチラー
が中古
で見つからず、機会を逃してしまっていたかもしれません。
最適なチラー 選定
とは、単なる製品探しではありません。お客様が抱える課題を深く理解し、専門家としての知見を加え、解決策を共に創り上げていく「対話」のプロセスそのものなのです。
チラー(循環装置)選びで迷ったら、まずR4Rにご相談ください
R4Rは、チラー
や恒温水槽
、循環装置
といった温度管理機器の専門家として、お客様の真の課題解決をサポートするパートナーです。
「どのモデルを選べばいいかわからない」
「自社の環境に合った冷却能力の計算が不安だ」
「特定の型番を探しているが、見つからない」
といったお悩みがあれば、ぜひ一度、私たちにお聞かせください。必ずお力になります。
>> チラーの選定について専門家に相談する