信号を“作る”装置?ファンクションジェネレータの基本と選び方

〜オシロスコープの相棒!回路テストに不可欠な「信号を作る」装置の基本〜
その回路、本当に正しく動いていますか?「テスト信号」の重要性
電子回路の設計や評価において、「決まった信号を入力して、期待通りの出力が得られるか」をテストすることは、その品質を保証する上で不可欠なプロセスです。
しかし、そのテストに使う「きれいな基準信号」は、一体どこから持ってくれば良いのでしょうか?
この記事では、「はじめての測定器選び」シリーズ第4弾として、オシロスコープのような信号を「見る」装置とは対極の、信号を自在に「作る」専門家、ファンクションジェネレータ(信号発生器)について、その役割と選び方をゼロから分かりやすく解説します。
こんな時、どうする? ファンクションジェネレータが解決する3つのシナリオ
ファンクションジェネレータは、具体的にどのような場面で活躍するのでしょうか。3つの典型的な開発・評価シーンを見てみましょう。
SCENE 1:「自作したアンプの性能を、正しく評価したい」
- 課題:オーディオアンプや高周波アンプが、設計通りの周波数特性を持っているか、入力信号を歪ませることなく、きれいな形で増幅できているかを確認したい。
- 解決策:ファンクションジェネレータで、基準となる完璧な正弦波を入力します。その上で、アンプの出力波形をオシロスコープで観測することで、周波数ごとのゲイン(増幅率)や歪み率といった性能を正確に評価できます。
SCENE 2:「実際のセンサー信号を模擬して、システムの耐久性をテストしたい」
- 課題:現実世界で起こりうる、ノイズが乗った複雑な信号や、異常なパルス信号を意図的に作り出し、システムが誤動作しないか、長時間安定して動作するかをテストしたい。
- 解決策:PCなどで作成した独自の波形データを出力できる、任意波形(AWG)機能を使います。これにより、理想的な信号ではない、よりリアルな環境を模擬したストレステストや耐久性評価が可能になります。
SCENE 3:「無線通信回路の受信テストを行いたい」
- 課題:AMやFMラジオのように、音声やデータが乗った変調信号を正確に作り出し、自社で開発した受信回路が、その信号を正しく受信・復調できるかを確認したい。
- 解決策:AM/FM変調機能を使い、テスト用の変調信号を生成します。これにより、実際の放送波や通信波に近い条件での、実践的な評価ができます。
あなたの「作りたい信号」から選ぶ!スペック解読ガイド
作りたい信号のイメージが湧いたら、次はそれを実現できる機種を選びます。以下の4つのポイントで仕様を確認しましょう。
- 周波数と波形の種類は?作りたい信号の最大周波数はどのくらいですか?また、正弦波や方形波といった基本波形で十分ですか?それとも、より複雑な任意波形や変調機能が必要ですか?ここが、選定の最も重要な出発点です。
- 電圧の大きさと出力形式は?必要な出力振幅(電圧)はどの程度でしょう。また、位相差のある信号やI/Q信号など、信号を同時に2つ出力したい場合は、2チャンネルモデルが必要になります。
- 信号の「質」はどれくらい重要?精密な測定には、ノイズや歪みの少ない、高品質な信号が求められます。仕様書にある垂直分解能(ビット数)が高いほど、滑らかできれいな波形が出力できます。一般的に14ビット以上の分解能があれば、多くの用途で十分な精度が得られます。
- インピーダンスは合っている?ファンクションジェネレータの出力インピーダンスは、一般的に50Ωです。接続する回路の入力インピーダンスと合わせる(インピーダンスマッチング)ことが、正確な信号を伝達するための基本です。
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私たちR4Rは、単に中古品を販売するだけではありません。お客様の「こういうテストがしたい」というご要望に対し、最適な「テスト環境」そのものをご提案します。
- コストメリット:新品では高価な、任意波形機能や高度な変調機能を搭載したファンクションジェネレータも、中古ならリーズナブルに導入可能です。
- 組み合わせ提案:「このファンクションジェネレータで信号を作り、こちらのオシロスコープで結果を観測する」といった、機器同士の最適な組み合わせをご提案し、お客様の測定環境の構築をトータルでサポートします。常に安定した信号を供給できるため、テストの信頼性が高まり、開発や検査の時間を大幅に短縮できます。
【まとめ】
ファンクションジェネレータは、電子回路のテストや評価に欠かせない「信号を作る」装置です。
選定の鍵は、まず「どんな信号を作りたいか」という目的を明確にし、それに合わせて「周波数」「波形の種類」「信号品質」などのスペックを確認することです。
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