スペクトラムアナライザの選び方|周波数範囲・ダイナミックレンジ・位相雑音

「とりあえず広い周波数範囲を選べばいい」は間違い——用途から逆算する3つの基準
RF用スペクトラムアナライザは、周波数範囲だけでなく、弱い信号を強い信号の近くで見分けるダイナミックレンジと、近接信号の測定を妨げる位相雑音が重要です。無線・EMI・発振器評価など、測定目的から必要性能を逆算します。
周波数範囲を決める
RFスペクトラムアナライザは、信号のエネルギーが周波数ごとにどう分布しているかを表示する測定器です。Keysightは選定項目として、周波数範囲、解析帯域幅、感度、ダイナミックレンジ、位相雑音などを挙げています。
基本波だけを見るのか、高調波やスプリアスまで探索するのかで必要な上限周波数が変わります。5G、Wi-Fi、レーダーなどの広帯域変調では、最大周波数だけでなく解析帯域幅も確認します。
ダイナミックレンジを見る
ダイナミックレンジは、大きな信号の近くにある小さな信号をどこまで測れるかに関係します。Keysightは、スペクトラムアナライザのダイナミックレンジを、ミキサの歪み、ノイズフロア、局部発振器の位相雑音などに制限される性能として説明しています。
Anritsuの現行シグナル/スペクトラムアナライザでも、DANL、位相雑音、TOIなどが主要性能として掲載されています。スプリアスや相互変調を測る用途では、周波数上限よりダイナミックレンジが重要になる場合があります。
位相雑音と感度を確認する
位相雑音は、強いキャリアのすぐ近くにある小さな信号を分離するときの限界になります。Keysightの公式解説でも、位相雑音によって小さい近接信号が埋もれる場合があると説明されています。
弱い信号を見る場合はDANL(表示平均雑音レベル)も確認します。RBWを狭くすると周波数分解能と見かけのノイズフロアは改善しますが、掃引時間とのトレードオフがあります。
光通信の波長スペクトルを測る光スペクトラムアナライザは別の計測器です。光用の選び方は光スペクトラムアナライザの選び方をご覧ください。
よくある質問
Q. 周波数範囲が広い機種を選べば十分ですか?
A. 十分ではありません。弱い信号検出にはDANLやダイナミックレンジ、近接信号には位相雑音も重要です。
Q. ダイナミックレンジは何に効きますか?
A. 強い信号の近くにある小さなスプリアスや歪み成分を測る能力に関係します。
Q. 位相雑音はどんな測定で重要ですか?
A. 発振器、レーダー、通信キャリアなど、強い信号の近傍を評価するときに重要です。
Q. 光スペクトラムアナライザと同じですか?
A. 異なります。本記事は電気信号のRFスペクトラムアナライザが対象です。
まとめ
RFスペクトラムアナライザは、周波数範囲、ダイナミックレンジ、位相雑音、DANLを用途に合わせて確認します。最大周波数だけでなく「どれだけ小さな成分を、どの条件で見たいか」が選定の鍵です。


