マルチメータの選び方:桁数・確度・True RMSの意味を正しく理解する

「DMMはどれも同じ」と思っていませんか?選定で見るべき3つのスペック

「DMMはどれも同じ」と思っていませんか?選定で見るべき3つのスペック

「電圧・電流・抵抗が測れればどれも同じでしょ?」

マルチメータ(DMM:Digital Multi Meter)の選定で、こうした認識のまま機種を選ぶと、後悔することになります。研究開発で精密測定をしたいのに分解能が足りない、製造ラインで歪み波形を測りたいのに True RMSに対応していない、フィールドで使いたいのに安全規格を満たしていない——そんな失敗を防ぐためには、3つのスペックを正しく理解する必要があります。

R4Rでは研究所・電機メーカー・保守現場のエンジニアからDMMの選定相談を多くいただきます。本記事ではその経験をもとに、マルチメータ選びの基礎を整理します。

ポイント1|桁数(分解能):4桁半・6桁半とは何か

DMMのスペックで最初に目に入るのが「桁数(分解能)」です。「6½桁」「4½桁」といった表記の意味を正しく理解しましょう。

桁数の見方

「6½桁」のDMMは6桁の数字に加えて、最上位に「0または1」しか表示できない半桁が付きます。つまり最大表示は「1,999,999」です。「4½桁」なら「19,999」が最大表示です。

表示できる桁数が多いほど、より細かい変化を読み取れます。

桁数の選定目安

桁数主な用途
3½桁フィールドメンテナンス・簡易確認
4½桁一般的な保守・電気設備点検
5½桁電子回路評価・実験
6½桁研究開発・基準器・精密測定
7½桁以上校正・標準器

研究開発の現場では6½桁が標準的です。Keysight 34461A・34465Aなどがこのクラスです。

ポイント2|確度:表示桁数 ≠ 測定精度

桁数が多くても、確度(accuracy)が悪ければ細かい数字に意味がありません。確度はDMMの本当の実力を示します。

確度の表記

確度は通常「±(○○% of reading + ○○% of range)」のように記載されます。例えば「0.0030% + 0.0004%」なら、読み値の0.003%と選択レンジの0.0004%の合計が誤差範囲となります。

確度を見る時の注意点

  • 校正後の年数で確度が変わる:1年確度・90日確度・24時間確度を確認
  • 測定レンジによって確度が変わる:使用するレンジでの値を確認
  • 温度範囲が指定されている:23±5℃などの記載に注意

校正の重要性

DMMは経年で確度が劣化します。中古機を購入する場合、過去の校正履歴と再校正の必要性を確認することが重要です。R4Rでは校正証明書付きの中古機もご相談に応じます。

ポイント3|True RMS:歪んだ波形を正しく測れるか

「True RMS」(真の実効値)はAC測定で重要な機能です。簡単に言うと、歪んだ波形でも正確に実効値を測れる方式です。

平均値方式との違い

安価なDMMは「平均値方式」を採用しており、これは正弦波を前提に実効値を計算します。インバータ制御のモータ電流のようにきれいな正弦波ではない波形を測ると、誤差が10〜40%にもなることがあります。

True RMS方式は波形の形に関係なく実効値を正確に算出します。以下のような場面で必須です:

  • インバータ駆動のモータ電流測定
  • 調光器・PWM制御回路の測定
  • スイッチング電源の入力電流測定
  • 非正弦波の高調波電流測定

波形の歪みについてはいまさら聞けない「インピーダンス」とは?でも触れていますが、現代の電子機器で正弦波がきれいに保たれることはほとんどありません。AC測定が必要ならTrue RMS対応機種を選びましょう。

用途別・選定チェックリスト

研究開発・基礎評価

  • 分解能は5½桁以上か(理想は6½桁)
  • DC電圧確度が0.01%以下か
  • LAN・USB・GPIB等のインターフェースがあるか
  • ヒストグラム・トレンド表示などの解析機能があるか

製造ライン・自動検査

  • 外部制御(GPIB・LAN)に対応しているか
  • 測定速度が要件を満たすか
  • 限界値判定機能があるか
  • 長時間連続使用での安定性が確認されているか

フィールド保守・電気設備点検

  • 安全規格(CAT III・CAT IV)が用途に合うか
  • True RMS対応か
  • 堅牢性・耐衝撃性は十分か
  • バックライト・データホールドなど現場機能が充実しているか

R4Rの取扱製品

R4Rでは以下のメーカーの中古マルチメータを取り扱っています。型番から直接お探しの場合は中古マルチメータ 一覧をご覧ください。

Keysight(キーサイト)
業界標準の34401A互換モデルから最新のTruevoltシリーズまで。研究開発からATEまで幅広く採用されています。
Keysight 取扱一覧

HIOKI(日置電機)
プロ向けハンドヘルド型に強みあり。CAT IV対応の高安全規格モデルがあります。
HIOKI 取扱一覧

Fluke(フルーク)
フィールドエンジニアの定番。87Vをはじめ世界中で信頼されているハイエンドDMMの代名詞です。
Fluke 取扱一覧

掲載されていない型番もお探しします。まずはお気軽にご相談ください。

まとめ:マルチメータ選びの3つのポイント

  1. 桁数は用途に合わせて選ぶ:研究開発は6½桁、保守は4½桁が目安
  2. 確度は表示桁数より重要:校正履歴の確認も忘れずに
  3. AC測定するならTrue RMS必須:現代の歪んだ波形を正確に測る基本

マルチメータは電気測定の出発点です。質の高いDMMで取得したデータは、その後のすべての評価の基盤になります。

中古のマルチメータについてのご相談は、R4Rまでお気軽にどうぞ。

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