データロガー選びの基礎:サンプリング速度・絶縁入力・チャンネル数の選定ポイント

「サンプリング速度が速ければいい」は間違い——用途から逆算する3つの選定基準

「データロガーを導入したいが、スペック表の見方がわからない」

「サンプリング速度はどれくらい必要か?絶縁入力って何?」

「HIOKIとYOKOGAWA、どちらを選べばいい?」

R4Rでは研究所・製造業・大学の担当者からデータロガー選定のご相談を多くいただきます。本記事では選び方の3つの基準と用途別チェックリストを整理します。なお、データロガーとオシロスコープの使い分けについてはデータロガーとオシロスコープの違い:長時間記録が必要な現場での選び方もあわせてご覧ください。

Q. データロガーのサンプリング速度はどれくらい必要ですか?

A. 測定対象の変化速度に合わせて選びます。速ければ良いわけではありません。

測定対象推奨サンプリング速度代表的な用途
温度(熱電対・RTD)1回/秒〜1回/分恒温槽・炉・環境試験
直流電圧・電流(低速変動)1〜100回/秒バッテリー充放電・太陽光評価
振動・ひずみ1kS/s〜100kS/s構造物の振動計測・疲労試験
電源の過渡電圧・スイッチング1MS/s以上インバータ・電源回路の評価

注意:サンプリング速度が速いほど記録データ量が増大します。長時間記録が必要な用途では、必要以上に速いサンプリング速度を選ぶとストレージが逼迫し、測定時間が短くなります。「測定時間÷サンプリング速度×チャンネル数」でおおよそのデータ量を事前に確認してください。

Q. 絶縁入力とは何ですか?なぜ重要なのですか?

A. チャンネル間の電気的な分離です。これが必要かどうかで機種選定が大きく変わります。

絶縁入力が必要なケース

  • 複数の電源系統を同時測定:異なるグラウンド電位を持つ信号を同時記録する場合、絶縁がないとグラウンドループが発生して正確に測定できない
  • 高電圧回路の測定:インバータ・モータドライブなど高電圧が含まれる系統の測定
  • 自動車・EV評価:バッテリーパック・モータ・補機系など複数の電源系統を同時測定

絶縁入力が不要なケース

  • すべてのチャンネルが同一グラウンドに接続される場合(温度計測のみなど)
  • 低電圧・単一電源系統のシンプルな測定
項目絶縁入力あり絶縁入力なし
価格高い低い
複数電源系統の同時測定可能グラウンドループが発生する可能性
高電圧回路への接続安全性が高い要注意
代表機種HIOKI LR8450・YOKOGAWA DL350HIOKI LR8400シリーズなど

選び方の基準3|チャンネル数と入力種別

測定対象の数と入力信号の種類によってチャンネル構成が決まります。

チャンネル数の考え方

  • 同時測定したい信号の数+20〜30%の余裕を持たせるのが原則
  • 拡張モジュールで後からチャンネルを追加できる機種を選ぶとフレキシブルに対応できる

入力種別の確認項目

入力種別主な用途
熱電対(K・T・J・E型など)温度測定(炉・恒温槽・電子部品の発熱)
直流電圧(mV〜V)バッテリー・センサー出力の記録
ひずみ(ブリッジ入力)応力・荷重の測定
パルス・デジタル入力回転数・流量・カウント値の記録

用途別チェックリスト

温度・環境モニタリング

  • 熱電対の型(K型・T型など)に対応しているか
  • 長時間記録に対応するストレージ容量か
  • 電池駆動またはAC電源どちらが必要か

EV・バッテリー評価

  • 絶縁入力に対応しているか
  • 高電圧入力レンジはあるか(600V以上)
  • 電流測定(クランプセンサー対応)があるか

バッテリー評価での活用はバッテリー評価で失敗しない電子負荷装置の活用術もあわせてご参照ください。

振動・ひずみ計測

  • サンプリング速度が1kS/s以上か
  • ブリッジ入力(ひずみゲージ)に対応しているか
  • FFT解析機能があるか

R4Rの取扱製品

R4Rでは以下のメーカーの中古データロガーを取り扱っています。

まとめ:データロガー選びの3つの基準

  1. サンプリング速度は測定対象の変化速度に合わせる:速すぎるとデータ量が増大し記録時間が短くなる
  2. 絶縁入力の要否を確認する:複数電源系統・高電圧回路の同時測定には必須
  3. チャンネル数と入力種別を測定対象から逆算する:余裕を持たせて選ぶ

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