EMC試験に必要な計測器は?必須機器リストと選び方

「EMC試験を始めたい」開発現場のための計測器セット完全ガイド

「新製品を発売するにはEMC認証が必要だけれど、どんな計測器を揃えればいい?」

EMC(電磁両立性)試験は、電子機器が周囲に電磁ノイズを出さないこと(EMI:妨害波)と、周囲のノイズに対して正常動作を維持すること(EMS:耐性)の両方を評価する重要な試験です。

試験には複数の計測器の組み合わせが必要で、新品で揃えると数千万円規模になることも。R4Rでは中古計測器を活用してEMC試験環境を構築されるお客様のご相談を多くいただきます。本記事では必要機器を横断的に整理します。

EMC試験の2つの分類

EMC試験は大きく以下の2つに分かれます。

EMI(エミッション)試験:妨害波の測定

製品が出す電磁波が規制値以下であることを確認します。

  • 伝導エミッション:電源ラインを通じて出るノイズ
  • 放射エミッション:空間に放出されるノイズ

EMS(イミュニティ)試験:耐性の確認

外部からのノイズに対して製品が正常動作することを確認します。

  • 静電気放電(ESD)試験
  • 放射イミュニティ試験
  • 電気的高速過渡(EFT)バースト試験
  • サージ試験

EMI試験に必要な計測器リスト

基本的なEMI測定には以下の機器が必要です。

1. EMIレシーバ または スペクトラムアナライザ

ノイズの周波数成分を測定する中核機器です。

選定ポイント:

  • CISPR準拠の準尖頭値検波機能(Quasi-Peak)があるか
  • 対応周波数範囲(伝導:150kHz〜30MHz、放射:30MHz〜1GHz以上)
  • EMI用のプリセットが内蔵されているか

Rohde & Schwarz FSWシリーズ、Keysight N9020Aなどがよく使われます。スペアナの基礎についてはいまさら聞けない!スペクトラムアナライザとネットワークアナライザの違いもご参照ください。

2. LISN(擬似電源回路網)

伝導エミッション試験で電源ラインのノイズを取り出すための装置です。AC用・DC用・三相用など規格に応じて選びます。

3. アンテナ

放射エミッション試験で使用します。測定周波数帯に応じて複数種類を使い分けます。

  • バイコニカルアンテナ(30〜300MHz)
  • ログペリオディックアンテナ(300MHz〜1GHz)
  • ホーンアンテナ(1GHz〜18GHz)

4. プリアンプ

微弱な信号を検出するため、低ノイズアンプを使います。アンプの利得・ノイズ指数が測定確度に影響します。

5. パワーメータ(参照測定用)

標準信号源のレベル確認やアンテナ校正で使用します。RFパワーメータの基礎はパワーメータの基礎:RF電力測定で押さえるべき3つのポイントをご覧ください。

EMS試験に必要な計測器リスト

1. 信号発生器(シグナルジェネレータ)

放射イミュニティ試験で試験用信号を生成します。AM変調・FM変調に対応し、80%変調度で出力できることが必要です。

信号発生器の選び方は信号を"作る"装置?ファンクションジェネレータの基本と選び方をご参考に。

2. パワーアンプ

信号発生器の出力を増幅して、試験レベル(一般的に3〜10V/m)を確保します。

3. 送信アンテナ

増幅した信号を被試験体に照射します。

4. 静電気シミュレータ(ESDガン)

ESD試験用の高電圧パルスを発生させる装置です。

5. EFT/サージシミュレータ

電気的高速過渡・雷サージを模擬する装置です。

試験規格別・必要機器の対応表

試験項目主な規格必要な計測器
伝導エミッションCISPR 11/22/32、VCCIEMIレシーバ + LISN
放射エミッションCISPR 11/22/32EMIレシーバ + アンテナ + プリアンプ
静電気放電IEC 61000-4-2ESDガン
放射イミュニティIEC 61000-4-3信号発生器 + パワーアンプ + アンテナ + パワーメータ
EFT/バーストIEC 61000-4-4EFTシミュレータ
サージIEC 61000-4-5サージシミュレータ

中古計測器でEMC試験環境を構築するメリット

EMC試験機器を新品で全て揃えると数千万円〜1億円規模になることもあります。中古機器を賢く組み合わせることで、大幅なコストダウンが可能です。

特に中古が有効な機器

  • スペクトラムアナライザ:ハイエンド機種は新品で1000万円超。中古なら1/3〜1/2程度で調達可能
  • 信号発生器:広帯域タイプは中古市場が豊富
  • LISN・アンテナ:耐久性が高く、中古でも性能が維持されやすい

新品を選ぶべき機器

  • ESDガン・サージシミュレータ:校正頻度が高い機器は新品または最近の校正済み中古を推奨
  • 最新規格対応機器:CISPR 32など比較的新しい規格への対応

R4Rの取扱製品(EMC試験関連)

R4Rでは以下のカテゴリーのEMC試験に関連する中古計測器を取り扱っています。

EMC試験システム全体の構築のご相談もR4Rまで。試験規格・被試験体の種類・予算感を教えていただければ、最適な機器構成をご提案します。

まとめ:EMC試験で必須の計測器

  1. EMIレシーバ/スペアナが中核:EMI・EMS双方の基盤
  2. LISN・アンテナ・プリアンプがEMI測定のセット
  3. 信号発生器・パワーアンプがEMS試験の要
  4. 中古活用でコスト削減:スペアナ・信号発生器が特に効果的

EMC試験環境の構築はR4Rまでお気軽にご相談ください。

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